1.はじめに:ストレングスファインダーと「目標志向」について
ストレングスファインダーとは、米国の心理学者ドナルド・O・クリフトンが開発した、個々の「強み」を見つけ出し育てるためのツールです。それぞれの個性や資質を34のテーマに分類し、その中でも特に強い5つのテーマを「シグネチャー・テーマ」と呼びます。
その中の一つが「目標志向」です。「目標志向」は結果を重視し、自身が設定した目標に向かって絶えず努力し続ける特性を持っています。自分が何を達成すべきか明確にし、それを達成するためだけに活動することを好みます。「目標志向」の持ち主は、遠大な目標を見つけ、それを達成するための道筋を描くのが得意です。
この記事では、この「目標志向」を最大限に活かす方法について詳しく解説していきます。
2.「目標志向」の特性と強み
(1)「目標志向」の定義と特徴
「目標志向」は、ストレングスファインダーの34の資質の一つで、目標に対する強い情熱とコミットメントを表します。
1.「目標志向」の特徴
- 目標達成に向けて、情熱とエネルギーを持って取り組む
- 短期的な困難や障害にもひるまず、長期的な目標に集中する
- 高い達成感を求め、自身のパフォーマンスを測定するのが好き
- 強い自己駆動性と自己管理能力を持つ
これらの特性があることで、「目標志向」を持つ人は困難な課題でも最後まで諦めずに取り組み、自分自身を挑戦し続け、成果を上げることができます。
(2)「目標志向」を持つ人の共通する考え方や行動パターン
「目標志向」の特性を持つ人々は、常に終点となる目標を明確に持ち、その目標達成のための進行方向を定めることが得意です。彼らの頭の中では、目標は常に明確で、その達成のためのプロセスが自然と描かれます。
また、「目標志向」を持つ人々は、一貫して高いモチベーションを保持し、タスクに対する集中力も非常に高いです。これは、彼らが自分自身に課す目標に対する強いコミットメントから来るもので、目標達成のためならば困難を乗り越える粘り強さも持ち合わせています。
以下の表で、「目標志向」を持つ人々の一般的な考え方と行動パターンをいくつかまとめてみました。
考え方・行動パターン | 具体的な内容 |
---|---|
明確な目標設定 | 自分自身の行動をガイドする明確な目標を設定 |
自己モチベーション | 目標達成に向けて高いモチベーションを維持 |
集中力 | 一つのタスクに対し高い集中力を持つ |
粘り強さ | 困難を乗り越えるための強い意志と耐久力 |
3.目標志向を最大限に活かす行動指針
(1)目標設定の重要性とその方法
目標志向のある人は、明確な目標があると本領を発揮します。なぜなら、彼らは成果に向けた行動を効率的に進めるための「地図」が必要だからです。
【目標設定の重要性】 目標を設定することで、方向性が明確化し、どの行動が成果に寄与するのかが見える化されます。これにより、無駄な作業を省き、効率的に成果を出すことが可能となります。
【目標設定の方法】 具体的には、SMART原則(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)を用いて目標を設定します。
SMART原則 | 説明 |
---|---|
Specific(具体的な) | 何をどの程度達成するのか明確にする |
Measurable(測定可能な) | 達成状況が数値等で確認できるようにする |
Achievable(達成可能な) | 実現可能な範囲で設定する |
Relevant(関連性のある) | 自分や組織の大きな目標に寄与するものを設定する |
Time-bound(期限を設けた) | いつまでに達成するのか期限を設定する |
これらの原則に則って目標を設定することで、「目標志向」の強みを最大限に引き出すことができます。
(2)優先順位のつけ方
「目標志向」の強みを活かすためには、明確な優先順位が必要です。まず、全てのタスクをリストアップしましょう。次に、その中から最も重要なものを1つ選びます。重要度の判断基準は、「目標達成にどれだけ寄与するか」や「放置した場合の影響度」などを考慮しましょう。
具体的な優先順位のつけ方は以下の表を参考にしてください。
優先度 | 判断基準 |
---|---|
1(最優先) | 目標達成に最も寄与するタスク |
2 | 放置すると影響が出るタスク |
3 | 他のタスクの進行に影響を及ぼすタスク |
4 | 期限が迫っているタスク |
このように優先順位を明らかにすることで、日々の業務がスムーズに進行し、目標達成も早まるでしょう。
(3)進捗の見える化と修正の仕方
「目標志向」の人は、目標を設定し、それに向けて努力することに喜びを感じます。進捗の見える化は、自身の成長を確認し、動機付けを高める重要な工程です。
- 進捗の見える化 最初に、目標に対する進捗状況を視覚的に把握できるようにすることが大切です。例えば、ガントチャートやプロジェクト管理ツールを使用すると、タスクの進捗状況が一目でわかります。
- 修正の仕方 進捗を管理しながら、計画に調整が必要な場合は適応力を発揮しましょう。状況を素早く把握し、新たなアプローチを試す勇気も必要です。
「目標志向」の強みを活かすためには、目標への取り組み状況を見える化し、途中経過を随時評価・修正することが大切です。これにより、確実に目標に向かって前進することが可能となります。
4.具体的な活用事例とその効果
(1)「目標志向」を生かした実務での活用事例
一例として、プロジェクト管理における「目標志向」の活用をご紹介します。Aさんは新規事業立ち上げのプロジェクト担当者で、「目標志向」の強みを持っています。
彼は始めに、具体的なビジョンと期限を設定しました。「1年後には市場に商品を投入する」という明確な目標をチーム全体に共有しました。それを達成するための行動計画も詳細に作成し、優先順位をつけて進行しました。
また、進捗状況は可視化し、常にチーム全体で共有していました。達成までの道のりを具体的に示すことで、一人一人のモチベーションを保ち、全員が目標に向かって努力できる環境を作り出しました。
この結果、Aさんのチームはスケジュール通りに新規事業を立ち上げ、大きな成功を収めました。これは「目標志向」の強みを最大限に活用した好例と言えるでしょう。
(2)経済効果、パフォーマンス向上などの具体的な成果
「目標志向」の強みを活かすことで、経済的な成果やパフォーマンスの向上が見込まれます。一つ具体例として、目標志向の強い営業メンバーが自身の目標を明確にし、それに向けて行動した結果、売上が前年比20%増という結果を達成したケースがあります。
また、新規プロジェクトを進めるチームでは、「目標志向」のメンバーが明確な目標設定とそれに向けた行動計画を作成。その結果、通常6か月かかるプロジェクトが4ヶ月で完了し、効率向上につながりました。
成果例 | 詳細 |
---|---|
売上向上 | 営業メンバーの売上が前年比20%増 |
プロジェクトの効率化 | 新規プロジェクトを予定より2ヶ月早く完了 |
これらは、「目標志向」の強みを活かした結果として具体的に挙げられます。
5. 「目標志向」の強みを活かすためのチームメンバーやマネージャーとのコミュニケーション指針
(1)他の資質を持つメンバーとの連携方法
「目標志向」の強みを活かすためには、チーム内での連携が非常に重要です。「目標志向」の特性を理解し、その強みを活かすことで、お互いの違いを尊重して協力し合う強固なチームを築くことができます。
例えば、あなたが「目標志向」である場合、計画や目標設定に強いです。一方で、「達成欲」や「戦略性」を持つメンバーは結果を出すことや戦略的な思考が得意という特性があります。このように、各メンバーが個々の強みを理解し、それぞれの役割を明確にすることで、互補的な関係を築き、チーム全体のパフォーマンスを高めることが可能です。
具体的な連携方法としては、
- チーム内で互いのストレングスファインダーの結果を共有する。
- 個々の強みを活かした役割分担をする。
- チーム全体の目標達成に向けて、各自の強みを最大限に活用する。
といった手順を踏むことが有効です。「目標志向」の強みを持つあなたが、チームの目標設定や進行管理を担当することで、チーム全体の効率的な進展を促すことができます。
(2)マネージャーへの伝え方、理解してもらうためのアプローチ
「目標志向」の特性をマネージャーに理解してもらうためには、具体的な行動や成果を通じて示すことが重要です。以下に、その具体的な手法をいくつかご紹介します。
まず、日々の作業における自身の目標や優先順位を明確にし、それを定期的に報告することで、自分が目標志向であることを伝えることができます。
次に、達成したい目標を具体的な数値や期限と共に提示し、それを達成した際にはその結果を共有することで、自己の「目標志向」の強みが組織にどのように貢献するのかを具体的に示すことが可能です。
また、マネージャーとのミーティングでは「目標志向」の視点から提案や意見を述べることで、自身の思考パターンと行動指針を理解してもらう機会を作りましょう。
これらのアプローチを通じて、「目標志向」な人材が如何に業績向上に寄与するかを理解してもらうことが大切です。
6.まとめ:「目標志向」の強みを活かすことで達成できること
「目標志向」の強みを活かすことで、以下のような成果を達成することが可能です。
- 効率的な目標達成: 明確な目標とその優先度設定により、思考や行動が整理され、余計な時間やエネルギーの浪費を避けることができます。
- パフォーマンス向上: 自身の進捗管理と修正により、常に最良の結果を出すための方向性を見失わず、結果としてパフォーマンスの向上につながります。
- チームの力を引き出す: 自分の強みを他のメンバーやマネージャーに理解してもらうことで、協力関係が構築され、チーム全体の成果につながります。
以上の達成は、仕事だけでなく、プライベートな目標に対しても同様に活用できます。目標志向の強みを最大限に活かし、より良い結果を生み出すために、今日から実践していきましょう。