1. はじめに
自己理解には限界がありますが、それを拡張する一つの方法として「自分史」を書くことが提唱されています。自分自身の過去を深掘りし、人生のパターンや自己成長の軌跡を見つけ出すための方法です。この記事では、自分史を書く際の具体的な手法と、それから得られる可能性について詳しく解説していきます。
自己理解は自己成長への第一歩であり、それは周囲との関係性改善にも繋がります。自分史を書くことで自分自身を客観的に見つめ直し、自己分析を深めることができます。ぜひ最後までお読み頂き、自分史作成の手法を学んでみてください。
2. 自分史とは?
自分史の定義
自分史とは、その名の通り自分自身の人生を振り返って書き綴ったものを指します。自分が生まれてから現在に至るまでの出来事や経験、それに伴う思考や感情を綴ります。
具体的には以下のような内容を含みます。
項目 | 説明 |
---|---|
出生から現在までの経験 | 自分が生まれてから現在までに経験した出来事やエピソードを書きます。 |
思考や感情 | 各経験に対する自分の感じた感情や考えたことを書きます。 |
得た学び | 経験から得た学びや気づきを書きます。 |
自分史は、自分自身を深く振り返るためのツールであり、自己理解を深める手段ともなります。さまざまな経験を通してどのように成長してきたのか、どのような人間になったのかを理解し、これからどんな人生を歩みたいのかを考えるきっかけにもなります。
自分史を書く目的とメリット
自分史を書く目的とメリットは、自身の生き方や価値観を見つめ直し、人生の方向性を再確認することにあります。まず、自分史を通して自己理解を深めることができます。過去の出来事や経験を振り返り、自分がどのように進化してきたのかを確認することが可能です。
また、自分史はあなたの人生のパターンや傾向を明確にするツールでもあります。これにより、未来の自己予測や目標設定に役立ちます。
さらに、自分史は感謝の気持ちを形にする一助ともなります。人生の中で支えてくれた人々や重要な出来事に改めて思いを馳せることで、心の豊かさを感じることができます。
以下の表は、自分史を書く目的とメリットを簡潔にまとめたものです。
自分史を書く目的 | メリット |
---|---|
自己理解を深める | 人生の進化を確認 |
未来の自己予測・目標設定 | 人生のパターン明確化 |
感謝の気持ちを形にする | 心の豊かさを感じる |
これらをふまえ、自分史を書くことは自己啓発の一環とも言えるでしょう。
3. 自分史の作成前に準備するもの
テンプレートの利用
自分史作成にあたり、整理しやすいように「テンプレート」の活用がおすすめです。テンプレートは自己分析をしやすくするためのツールで、項目が設けられているため、思い出すべきポイントを見逃すことなく記述することができます。
具体的なテンプレートの例としては、「年度」「主な出来事」「自分の行動」「反省点」等が考えられます。以下に示すように、各欄に箇条書きで記入していくだけで、自分の人生を時系列で振り返ることが可能となります。
年度 | 主な出来事 | 自分の行動 | 反省点 |
---|---|---|---|
2000 | ○○小学校入学 | 読書に興味を持つ | 勉強時間を増やしたい |
このような表形式のテンプレートに記入することで、一目で自分の人生の流れを掴むことができます。また、テンプレートは自由にカスタマイズ可能なので、自分に合った項目を追加してみてください。
必要な資料や思い出の品
自分史を書き始める前に、何が必要でしょうか。まず、最も重要なのはあなた自身の記憶です。しかし、時間が経つと詳細な記憶は薄れてしまうものです。そこで役立つのが、以下に挙げる資料や思い出の品々です。
- アルバムや写真:これらは特定の出来事や時期を具体的に思い出すのに役立ちます。
- 日記や手紙:過去の自分の考え方や感情を思い出すのに有効です。
- 賞状や証書:あなたの達成したことを再確認するのに役立ちます。
- 学校の成績表や職歴書:具体的な成果や経験を振り返るのに役立ちます。
これらの資料や思い出の品を見ることで、過去の出来事やその時の自分の感情を具体的に思い出すことができ、より詳細かつ具体的な自分史を書くことが可能となります。
4. 実際の自分史の書き方
(1)年代別に自分のキャラクターや出来事を書く
自己史を書く際、まず始めに取り組むべきは「年代別に自分のキャラクターや出来事を書く」ことです。これにより、生活の流れや変化を一目で把握することが可能となります。
例えば、以下のような表を作成してみましょう。
年代 | キャラクター | 主な出来事 |
---|---|---|
0-10歳 | 好奇心旺盛 | ピアノを始める |
10-20歳 | 競争心強い | 中学で生徒会長に |
20-30歳 | 社交性が高い | 大学で留学する |
この表に記入することで、自分がどのように成長してきたか、どの出来事が自己形成に影響を与えたかが見えてきます。生まれたときから現在まで、大切な出来事を年代ごとに振り返りましょう。思い出した出来事は詳細に書き留めておくと、後で具体的なエピソードをまとめる際に役立ちます。
(2)具体的なエピソードを時系列で記述
自分史を書く際には、具体的なエピソードを時系列で記述することが大切です。人生の節目や印象深い出来事、重要な人々との出会いや別れ等、自分を形成する上で影響を与えた出来事を、年代別に分けて箇条書きにします。
例えば、次のような形になります。
【表1.自己史の具体的なエピソードの記述例】
年代 | エピソード |
---|---|
1990年代 | 幼稚園時代、初めての友達と出会い、共に遊ぶ楽しさを知る |
2000年代 | 中学校でサッカー部に入部、チーム一丸となる絆の大切さを学ぶ |
2010年代 | 大学で専門的な知識を深めると同時に、バイト先で社会経験を積む |
各エピソードについては、状況、行動、結果を具体的に書くことで、自分自身の行動パターンや価値観を見つけ出す手助けになります。この工程を通じて、自分の歩んできた道のりを客観的に振り返ることが可能になります。
(3)各時期のモチベーションや思考を振り返る
各時期のモチベーションや思考を振り返る際には、特に重要な成功体験や失敗体験を中心に考えてみましょう。そのときの自分が何を感じ、どう行動したのかを率直に書き出すことが大切です。
例えば、表を作って以下のように記述すると見やすいです。
時期 | 体験 | モチベーション | 思考 |
---|---|---|---|
学生時代 | スポーツ大会で優勝 | チームで結果を出す喜び | チームワークの大切さを理解 |
社会人初期 | プロジェクト失敗 | 仕事の成功への責任感 | 対人スキルの必要性を感じる |
このように自分の思考や感じたことを記録することで、自分自身の成長過程や価値観の変化が可視化されます。そして、それが自己理解に繋がるのです。
(4)それぞれの出来事から得た学びや気づきを記録
それぞれの出来事を振り返る際、単に事実を並べるだけではなく、「何を学んだか」「何に気づいたか」を記録することが重要です。例えば、大学受験時に努力した結果、合格したという経験があれば、「努力は報われる」と学んだと記述します。
また、人間関係で悩んだ際に自身のコミュニケーションスキルの改善が必要だと感じたなら、「コミュニケーションスキルの向上が自己成長に繋がる」という気づきを記すのです。
下記の表のように、「出来事」「学び」「気づき」を整理しましょう。
出来事 | 学び | 気づき |
---|---|---|
大学受験合格 | 努力は報われる | 目標に向かって地道に進む力が自分にある |
人間関係での悩み | コミュニケーションスキルの向上 | 自己成長のためのスキルに挑戦する勇気が必要 |
この方法で、自分史から自身の成長過程や気づきを明確に可視化することができます。
5. 自分史を書く際のポイント・注意点
自分と向き合うために事実を飾らずに書くこと
自分史を書く際、最も重要なのは「正直さ」です。事実を飾らず、自分をありのままに見つめることが求められます。
表1: 自分史作成の重要事項
重要事項 |
---|
1. 自己分析のための事実の再確認 |
2. 白黒つけずに感じたままを記述 |
3. 自身の感情や反応を客観的に描く |
それは、良い結果だけでなく、失敗や挫折も含めた全ての経験を包み隠さず綴ることです。成功体験だけを並べた文書は、自分史というよりも自己PRの領域になります。
一方、自分史では私たちの生きざま、成長の過程、そして人間性が問われます。そのため、全ての経験が自己理解と自己成長につながる貴重な資源となるのです。
ですから、自分史を書く時は、ありのままの自分を見つめ、その全てを受け入れる勇気が必要となります。それが、自分と向き合う本当の意味だと言えるでしょう。
ささいな出来事も大切に取り扱うこと
自分史を書く際には、大きな出来事だけではなく、一見ささいな出来事も大切に取り扱うことが重要です。日々のくらしの中での小さな体験や、触れ合った人々との交流なども自分を形成する一部であり、自己理解を深めるためには欠かせません。
例えば、以下のような表を作成し、日々の出来事を書き留めてみましょう。
日付 | 出来事 | 感じたこと | 学んだこと |
---|---|---|---|
3/1 | Aさんとランチ | 和やかな時間 | Aさんの視点 |
3/2 | 雨の中を歩く | 自然の美しさ | 雨の日の楽しみ方 |
このような形で、ささいな出来事でも記録することで、自分の日常や思考のパターンを掴むことができます。その中から新たな自己理解や気づきを得られるかもしれません。
自分の行動の理由を振り返ること
自分史を書く際、特に重要なのが「自身の行動の理由を振り返る」ことです。具体的なエピソードや出来事だけでなく、それに至った経緯や背後にある思考パターンも記述することで、自身の行動原理や価値観が見えてきます。
例えば、以下のような形式で記述するとスムーズです。
起こった出来事 | 自身の行動 | 行動理由 | 学んだこと |
---|---|---|---|
学生時代、サッカー部で主将を務めた | チームをまとめ、試合に臨む | 責任感から自然と仕切るようになった | リーダーシップの重要性 |
このように、具体的な出来事とそれに至った理由、そしてその結果学んだことを列挙することで、自己理解が深まります。自分史はただ振り返るだけでなく、自己分析のツールとしても活用可能です。
6. 自分史から自己分析を行う方法
出来事の共通点やパターンを見つける
自分史を書くことにより、生活や経験の中で繰り返し起こる出来事やパターンを見つけることが可能になります。これは自己理解を深めるための重要なステップです。
例えば、表1のように自分史を整理してみましょう。
【表1】
時期 | 出来事 | 気づき |
---|---|---|
幼少期 | 自然と触れ合うことが多かった | 自然に興味がある |
学生時代 | 美術部に所属 | 色彩感覚が強い |
社会人 | 広告業界に転職 | クリエイティブな仕事に興味がある |
このように自分の過去へと遡りながら、自分の行動や選択に共通する点やパターンを見つけることで、自己理解を深めることが出来ます。また、これらの共通点やパターンから、自己の強みや弱み、興味・関心の方向性を見つけることも可能となります。
自己PRや志望動機への活用方法
自分史を活用して自己PRや志望動機を作成する方法について説明します。自分史からは、自己の強みや弱み、成長した経験、価値観などを見つけ出すことができます。
まず、自己PRの作成では、自分史から得られたエピソードを使用します。具体的な成果だけでなく、どのように困難を乗り越えたかを振り返り、その過程で得たスキルを強調します。
次に、志望動機の作成です。自分史から、あなたが何に興味を持ち、何に動機を感じるかを見つけることが可能です。その結果、自然とあなたが志望する会社や職種への意欲が形成されます。
表1. 自分史からの自己PRと志望動機の作成例
自分史のエピソード | 自己PR | 志望動機 |
---|---|---|
学生時代に困難なプロジェクトを成功させた | プロジェクトマネジメントスキル | チームでの課題解決に興味がある |
留学経験から異文化理解の重要性を学んだ | 異文化コミュニケーション能力 | グローバルに活躍したい |
以上の方法で、自分史を自己PRや志望動機の作成に活用しましょう。
面接で答えられなかった質問への回答を見つける
自分史を活用して、面接での質問に対する回答を見つけることが可能です。例えば、「あなたが過去に困難を乗り越えた経験は何ですか?」というような質問に対して、具体的なエピソードが思い浮かばない場合も多いでしょう。しかし、自分史があれば、そこから適切なエピソードを引用することができます。
また、自己分析の一環として、自分史の中で特に印象に残った出来事や経験を振り返ってみましょう。それらがあなた自身の強みや弱み、価値観を示している可能性があります。自分史を通じて自己理解を深めることで、面接でも自信を持って自己PRをすることができるようになります。
7. 自分史を書く上での問題点と解決策
書き出すことが困難な場合の対策
自分史の作成を始める際、どこから手をつけて良いのかわからないと感じることは少なくありません。そんな時には、以下の三つの対策を試してみましょう。
第一に、一日の活動を振り返り、その日に起きた出来事や感情を箇条書きにする方法です。これは日記のような形で、一日の終わりにしっかりと自分の感情に向き合う時間を持つことが大切です。
次に、テーマを設けて書く方法もあります。例えば、「学生時代の友人との思い出」や「初めての仕事体験」など、具体的な話題から書き始めると、思い出すエピソードが増え、書き進めやすくなります。
また、自分史の書き出し部分が困難な場合は、時間軸を作成し、大まかな人生の流れをまず描いてみると良いでしょう。その上で、各時期の重要な出来事やエピソードを加えていくと自然と文章が広がっていきます。
自己分析が進まないときの手法
自己分析が進まない場合、まずは状況を落ち着いて把握しましょう。心がパニック状態になると、客観的な判断が難しくなります。
困難な状況でも解決策は必ずあります。以下にいくつかの手法をご紹介します。
- マインドマップを活用する 自分の思考や出来事を視覚的に整理することで、新たな視点や関連性を見つけられる可能性があります。
- 第三者の意見を求める 身近な人に自己分析の一部を見せて意見をもらうと、自分では気づかなかった点を指摘してもらえます。
- 定期的に見直す 一度書き出した自分史は定期的に見直すことをお勧めします。時間が経つことで新たな視点で自己分析が進むことがあります。
以上の手法を試してみて、自己分析が進まない状況を打開しましょう。自分史はあくまで自分自身のためのものですから、焦らず、自分のペースで進めてみてください。
8. まとめ
自分史作成の重要性の再確認
自分史を作成することの重要性は、何度も強調していますが、自己理解を深めるためです。自分の人生を振り返り、自分がどのように成長し変化してきたかを理解することは、自己分析に欠かせません。
以下に自分史作成の重要性を3つのポイントでまとめます:
- 自己理解: 自分の過去の経験や出来事を振り返ることで、自身の性格や価値観の形成過程を理解できます。
- 自己啓発: これまでの自分の行動や思考のパターンを見つけることで、自己改善のためのヒントを得ることができます。
- 未来設計: 過去から学んだことを活かし、自分の将来の目標設定や人生設計をより明確にすることができます。
最後に、自分史は自分だけのものです。誰の目に触れることなく、素直に自分自身に向き合う時間を持つことが重要です。
今後の自分史活用の展望
自分史は一度書いたら終わりではありません。書き続けることで、自身の成長や変化を振り返る素晴らしいツールとなります。例えば、年明け毎に一年間の出来事や学びを追記し、過去の自分と比較することで、自己理解が深まります。
また、自分史はキャリア形成にも役立ちます。面接やエントリーシートにおける自己PRや志望動機の素材として活用できます。一方で、自己理解を深めた結果、意外なキャリアチェンジを思い立つかもしれません。
さらに、自分史は後世に対するメッセージともなります。自身の経験や学びを綴った自分史は、家族や子孫への大切な遺産となるでしょう。
これからも自分史を書き続け、その活用方法をさらに広げていきましょう。