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メンタル・アカウンティングとは? これがあなたの消費行動を左右する!

目次

1.はじめに

消費行動とは、日々のライフスタイルや価値観を大きく左右します。しかし、「なぜこの商品を選んだのか?」、「なぜこんなに節約を意識するのか?」など、自分自身の消費行動がなぜそうなったのかを理解するのは難しいものです。本記事では、「メンタル・アカウンティング」という考え方を通じて、そんな消費行動をより深く掘り下げます。

メンタル・アカウンティングは、我々が金銭に対する感覚や意志決定をどのように行っているかを解明する理論です。これを理解することで、自分自身の消費パターンを見直すことができるだけでなく、より良い金銭感覚を身につける糸口になるでしょう。今後の記事で詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

2.メンタル・アカウンティングとは?

(1)メンタル・アカウンティングの定義

メンタル・アカウンティングとは、経済学者リチャード・サイラーが提唱した経済心理学の概念で、個々の人がお金を管理し、消費を決定する際の心理的なプロセスを指します。それはある意味、私たちがお金を「精神的な」アカウント、つまり「カテゴリ」に分けて考える傾向について説明しています。

例えば、”食費”、”娯楽費”、“教育費”といった具体的なラベルを付けて、お金を管理することでしょう。また、これらのカテゴリは一見同じ価値のお金でも、「ボーナス」と「給料」のように感じ方を変えることがあります。

このメンタル・アカウンティングは、理想的な経済行動とは異なる消費行動を引き起こすことがあり、我々がどのようにお金を使うかを理解するための重要な鍵となっています。

(2)メンタル・アカウンティングの起源と理論

メンタル・アカウンティングの理論は、1979年に経済学者ダニエル・カーネマンとアモス・ツヴァースキーによって提唱された”展望理論”に由来します。彼らは経済行動は必ずしも利益最大化の観点から行われるわけではなく、人間の心理的な認知や感情が大きく影響を与えると述べました。

後に、リチャード・セイラー教授はこの考えを発展させ、金銭管理に関する人間の非合理性を「メンタル・アカウンティング」の理論として体系化しました。彼によれば、人々はお金を「口座」ごとに分けて考え、その「口座」ごとに異なる価値を付けて扱ってしまうというのです。

例えば、同じ1000円でも、給料から出したものとギャンブルで得たものでは価値が変わり、使い方が変わると言います。これがメンタル・アカウンティングの根幹をなす考え方です。

3.メンタル・アカウンティングの具体的な例

(1)日常生活でのメンタル・アカウンティング

日常生活でのメンタル・アカウンティングを理解するため、具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、毎月の給料(生活費としてのアカウント)とボーナス(特別費としてのアカウント)は、同じくお金であるにも関わらず、私たちはこれらを別々の「メンタル・アカウント」として認識します。給料は家賃や食費など、必要な支出に使い、ボーナスは旅行や高価な買い物など、特別な出費に使うといった具体的な消費行動につながります。

また、貯金や投資(将来のためのアカウント)も別のメンタル・アカウントとして管理されがちです。これらのアカウントは、無意識的に作られ、使われているのが特徴です。

表で見ると以下の通りです。

アカウント使用例
生活費家賃、食費
特別費旅行、高価な買い物
将来のため貯金、投資

このような認識は、生活を管理しやすくする反面、無駄遣いを引き起こす可能性もあります。

(2)投資や財務計画でのメンタル・アカウンティング

投資や財務計画において、メンタル・アカウンティングはとても重要な役割を果たします。例えば、貯蓄、娯楽、学費、老後資金など、予算を「口座」ごとにカテゴリ分けする行為です。これにより、お金の使途を明確にし、支出の優先度を理解しやすくします。

また、投資の場合も同様です。「安全な投資」と「リスク投資」などと分けて考える事で、リスク管理が可能となります。以下に具体的な表を示します。

メンタル・アカウンティング提供できる情報
貯蓄アカウント定期的な支出の予算
娯楽アカウント余裕資金の使途
学費アカウント子供の教育費用の準備
老後資金アカウントリタイアメントの計画
安全投資アカウント安定的な利益の予想
リスク投資アカウント高リターン・高リスクの投資

メンタル・アカウンティングは、自己の財務状況を明確にし、資金の使途を管理する強力なツールとなります。

4.メンタル・アカウンティングが消費行動に与える影響

(1)意思決定のバイアス

メンタル・アカウンティングは意思決定にバイアスをもたらします。具体的には、同じ価値のお金でも、その入手方法や使い道により、私たちの感じ方・扱い方が変わる現象を指します。

例えば、自分の労働による収入と、宝くじで当たった意外な収入があったとしましょう。同じ1万円でも、前者は必要な生活費に使い、後者は贅沢品を購入するなど、使い道が変わることでしょう。

また、こうしたバイアスは投資においても見受けられます。例えば、元本保証の定期預金とリスクのある株式投資。同じ1万円の投資でも感じるリスク感は大きく異なります。

これらは全て、メンタル・アカウンティングに起因する意思決定のバイアスです。この理解は、自身の消費行動や金銭感覚を見直す一助となることでしょう。

(2)無駄遣いの防止

メンタル・アカウンティングは、無駄遣いを防止するための強力なツールとなることがあります。それは、私たちがお金を「ラベル付け」することで、その使い道を明確にし、予算オーバーを防ぐ効果があるからです。

例えば、あなたが「旅行費用」と名付けたアカウントを設けたとしましょう。このアカウントへの積立が進むと、それを他の無計画な消費に使うことをためらうでしょう。それが「無形」の費用であった場合、つい使ってしまうかもしれませんが、「旅行費用」と具体的に名付けることで、その使途が明確になるのです。

このように、メンタル・アカウンティングは金銭の使途を明確化し、無計画な支出を抑制する効果があります。

(3)節約や投資行動に対する影響

節約や投資といった金銭行動にも、メンタル・アカウンティングは大きな影響を与えます。具体的には、我々は収入を「生活費」「貯金」「レジャー」など、特定の目的ごとに区分けして考える傾向があります。

例えば、以下のような場合を考えてみましょう。

【表1】

「ボーナス」で得たお金「給料」で得たお金
使い道レジャーや贅沢品家賃や生活費

ボーナスは一時的な収入と認識され、「楽しむためのお金」として使われがちです。一方、給料は「生活に必要なお金」として、固定費に充てられることが多いです。

しかし、実際にはどちらのお金も「自分自身への支払い」であり、区別する必要はありません。これがメンタル・アカウンティングが節約や投資行動に及ぼす影響です。この認識を改めることで、より合理的な金銭管理が可能になります。

5.メンタル・アカウンティングを理解し、より良い消費行動をするために

(1)自己認識の重要性

自分の消費行動を理解し、改善するためには、自分自身の「メンタル・アカウンティング」についての認識が大切です。

まず、自分がどのようにお金を使っているか、日々の支出を具体的に把握しましょう。それは食費、交際費、趣味やレジャーに使うお金など、さまざまなカテゴリーに分けて記録すると良いです。

次に、それぞれのカテゴリーで何にどれだけのお金を使っているか、またその使い方に満足しているか、自己反省してみましょう。それを通じて、自分のメンタル・アカウンティングの傾向やパターンを理解することができます。

自己認識を深めることで、無意識のうちに行っていたメンタル・アカウンティングを意識化し、より賢い消費行動へと導くことができるのです。

(2)無意識の金銭感覚を意識化する方法

無意識の金銭感覚を意識化するには、まずあなたの支出パターンや節約傾向を理解することが大切です。これは、普段の生活でどのような物やサービスにどれだけのお金を使っているか、またそれがあなたの全体的な収入や貯蓄にどのように影響しているかを把握することから始まります。

具体的な方法としては、以下の3つを挙げることができます。

  1. 「家計簿」をつける: 家計簿をつけることで、日々の出費を具体的に把握することが可能となります。
  2. 「予算設定」: 月々の固定費や必要経費を予め計画し、その枠内で生活するという方法です。
  3. 「収支記録」: 収入と出費を定期的にまとめ、バランスを見ることで理解を深めます。

これらの方法を取り入れることで、無意識下での支出行動を意識化し、メンタル・アカウンティングをより効果的に利用することが可能となります。

(3)メンタル・アカウンティングを活用するためのテクニック

メンタル・アカウンティングを活用して、より良い消費行動をするためには以下のテクニックがあります。

まず、自分の資金を「使途別」で分けて管理することです。例えば、「生活費」「貯蓄」「遊び」「学習」など、目的ごとに管理をすることで、無意識の出費を防ぎます。

次に、「期間別」で管理する方法も有効です。「今月」「今週」「今日」といった形で、時間軸を設けて予算を設定します。これにより、長期的な視点での金銭管理が可能となります。

最後に、自己の金銭感覚を高めるために、レシートや家計簿を利用して支出を具体的に把握することも大切です。毎日の少額でも積み重なることで大きな出費となることを意識し、節約行動を促します。

これらのテクニックを活用し、メンタル・アカウンティングを理解することで、より良い消費行動が可能になります。

6.まとめ

本記事では、「メンタル・アカウンティング」の理論と、それが我々の消費行動にどのように影響を与えるかについて解説しました。メンタル・アカウンティングは、私たちがお金をどのように評価、使用するかを理解するキーとなります。

具体的な日常生活や投資の例を通じて、この理論がいかに私たちの意思決定を左右するかを明らかにしました。また、この理解を活用し、無意識の金銭感覚を意識化し、無駄遣いを防ぎ、節約や投資行動を促進する方法を提供しました。

この知識を利用することで、より賢明な消費行動が可能となります。メンタル・アカウンティングの理解は、自己認識の一環であり、より良い金銭管理を達成するための重要なステップです。我々の金銭感覚を理解し、それをコントロールすることで、より賢い消費者になることができます。

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この記事を書いた人

自己啓発本やビジネス書など、年間100冊以上を読む運営者が古今東西の自己啓発をおまとめ。明日の自分がちょっと楽しみになるメディアを目指しています。

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