1. はじめに
あなたは自分の「得意なこと」を知っていますか?それを十分に活用していますか?私たちが生きていく上で、自分の得意なことを見つけ、それを最大限に活かすことは非常に重要です。なぜなら、得意なことを活かすことで、仕事や人間関係、そして自己成長においても大きな成果を出すことが可能になるからです。
しかし、自分自身の「得意なこと」を見つけ出すのは簡単なことではありません。他人に比べて、自分は何も得意なことがないと思ってしまう人も少なくないでしょう。そこで本稿では、「得意なこと」の見つけ方とその活かし方について詳しく解説します。
2. 自己の才能を理解するための「得意なこと」の意味
(1)「得意なこと」とは何か?
「得意なこと」とは、個々人が自然に、または少ない努力で他の人よりよくこなせる能力や活動のことを指します。これには自身が気づいていないかもしれない、日常生活の中でスムーズに行えることも含まれます。
例えば、他人に説明や指導を行うことが得意な人がいれば、一方で論理的思考やパズル解きが得意な人もいます。また、料理や手芸、運動など特定の活動を上手にこなす人もいるでしょう。これらは全て「得意なこと」の一例と言えます。
重要なポイントは、「得意なこと」は必ずしも「好きなこと」とは限らないということです。得意であるからと言って、それが自分の好きなことであるとは限らないのです。その違いについては次の項目で詳しく解説します。
(2)「得意なこと」と「好きなこと」の違い
「得意なこと」と「好きなこと」は、しばしば混同されますが、実際には異なる概念です。
「得意なこと」は、自分のスキルや能力が高く、他人に比べて優れていると自覚できるものを指します。一方、「好きなこと」は、自分が楽しむことができ、喜びを感じる活動を指します。
以下の表で明確に説明します。
好きなこと | 得意なこと | |
---|---|---|
定義 | 喜びを感じる活動 | 自分が優れていると自覚できるスキル・能力 |
例 | 映画鑑賞、旅行など | 記憶力が強い、計算が得意など |
これらの違いを理解することは、「得意なこと」を見つけ出すための重要な一歩となります。
3. 「得意なことがない」と感じる人のための心理的視点
(1)他人との比較による自己評価
自分の「得意なこと」を見つける過程で、他人との比較による自己評価は重要な視点です。しかし、これは正しい自己評価だけでなく、自己評価を偏らせる可能性もあることを認識することが重要です。
自分が他人と比較してできないことや苦手なことに焦点を当てすぎると、実際には得意なことを見落としてしまう可能性があります。他人との比較を行う際は、以下の2つのポイントに注意してください。
- 自己評価は他人との相対的な能力だけでなく、自身の絶対的な能力も考慮することが重要です。
- 他人ができないことや苦手なことについても、それが自分の得意なことかもしれません。
他人との比較は自己理解の一つの手段ですが、適切な自己評価には自己認識と自己受容のバランスが必要です。
(2)得意なことに気づいていない可能性
「得意なことがない」と思ってしまうのは、自身の特技や才能に対する認識が低いからかもしれません。特に、日常生活や仕事で自然体で行っていることは、あまりにも身近すぎて得意と認識しきれていない場合があります。
たとえば、他人から見れば、あなたの手料理の味は素晴らしいと感じるかもしれません。しかし、あなた自身は「料理が得意」とは感じていないかもしれません。これは、料理が日常の一部であるため、特別なスキルとは感じていないからです。
このように、自分では気づかない得意なことを見つけるためには、自分の行動や習慣を振り返ることが有効です。自分が何をしていて楽しいと感じているか、どんな時に他人から褒められることが多いのかを注意深く観察してみましょう。
4. 自分の「得意なこと」を見つける方法
(1)楽しいと感じることの探求
「得意なこと」を見つける一つの手がかりとして、「楽しいと感じること」を探求してみましょう。人は、自分が楽しいと感じることに対して、自然と意欲を持ち、時間を費やしやすくなります。その結果、スキルが向上し、「得意なこと」に発展する可能性が高まります。
まずは、次の表を作成し、自分が楽しいと感じること、その理由、その中で特に得意だと感じる部分を列挙してみましょう。
楽しいと感じること | その理由 | 得意な部分 |
---|---|---|
例) 料理 | 自分の創作物を人に喜んでもらえるから | デザート作り |
この表作りを通じて、自分の「得意なこと」について考えるきっかけを作ることができます。
(2)継続していることの分析
「得意なこと」を見つけるための一つは、「継続していること」を分析することです。人間は興味や能力があることを無意識に続ける傾向があります。
まず、自身が継続していることをリストアップします。それが例えば、毎日の日記を書くこと、週末のガーデニング、定期的な読書やランニングなど、どんな些細なことでも構いません。
次に、その活動に対する各感情を評価します。楽しみ、満足感、達成感など、ポジティブな感情が多ければ、そこに「得意なこと」が隠れている可能性が高いです。
表1. 継続していることの分析
継続活動 | 楽しみ | 満足感 | 達成感 |
---|---|---|---|
日記を書く | 〇 | 〇 | 〇 |
ガーデニング | 〇 | 〇 | 〇 |
読書 | 〇 | 〇 | △ |
ランニング | 〇 | △ | 〇 |
このような分析を通じて、自分の「得意なこと」を見つけ出す手がかりを得ることができます。
(3)自分ができて、他人ができないことの検討
自身が成し遂げることができて、一方で他人が難しいと感じる事柄は何ですか?これがあなたの「得意なこと」の重要な手がかりになる可能性があります。
たとえば、以下のようなシチュエーションを考えてみてください。
- 「友人からの相談が多いこと」
- 「家族があなたに任せっきりのこと」
- 「誰もが苦手と感じる作業を、あなたは平然とこなす」
これらは他人から見てあなたが得意と感じられる瞬間であり、自分自身では気付かない才能の可能性を秘めています。 この視点から見つめ直すことで、自分の「得意なこと」を新たに見つけることができるでしょう。気づきによって、あなたの才能をさらに伸ばすきっかけにもなるかもしれません。
(4)対人評価:他人からのフィードバックの収集
自分自身では気付きにくい「得意なこと」を見つけられるのが対人評価です。これは、あなたの行動やスキルに対する他人からのフィードバックを収集する方法であり、以下の手順で実施できます。
- まず、信頼できる人々に対して、あなたが彼らにとって何か有益なことを提供しているかを尋ねます。
- 次に、そのフィードバックをリスト化し、共通する項目に注目します。
信頼できる人 | フィードバック |
---|---|
友人A | 彼へのアドバイスが有益だった |
友人B | 自分の感情を理解するのに役立つ |
家族 | 人々を助けるためのアイデアが豊富 |
このように、他人から見たあなた自身の特性が明確になります。また、そのフィードバックに感謝するとともに、それが自分の「得意なこと」である可能性があることを理解しましょう。
(5)「苦手なこと」からの逆算
「苦手なこと」から自身の「得意なこと」を見つける逆算法とは、まず自分が苦手と感じることをリストアップします。その上で、これらの項目と反対の能力や特性を考えてみましょう。
例えば、計算が苦手なら、その反対性質として「言葉による表現」が得意かもしれません。また、一人で黙々と作業することが苦手なら、それは「コミュニケーション能力」や「チームワーク」が得意である可能性を示しています。
以下に一例を表示します。
苦手なこと | 反対の能力 |
---|---|
計算 | 言葉による表現 |
一人で作業 | コミュニケーション・チームワーク |
このように、自分の「苦手なこと」を分析することで、「得意なこと」を見つける新たな視角を提供します。
5. 「得意なこと」を活かすための具体的なステップ
(1)得意なことを仕事に活かすメリット
得意なことを仕事に活かすことには、以下のようなメリットがあります。
- 生産性の向上: 自分の得意なことを仕事にすると、効率的に作業をこなすことが可能になります。得意なことはスキルレベルが高いことを意味するため、それを活用すれば自然と生産性も向上します。
- モチベーション維持: 得意なことは、多くの場合、好きなことでもあります。そのため、得意なことを仕事にすると、仕事へのモチベーションが維持されやすくなります。
- 自己成長: 得意なことをさらに深めることで、専門性やスキルを磨くことが可能です。これはキャリア形成にも寄与します。
- 人間関係の改善: 自分の得意なことを周囲と共有することで、共感や尊敬を得られ、良好な人間関係を築くことができます。また、自分が得意とする分野で他人を助けることができれば、更に人間関係は深まります。
以上の理由から、自分の得意なことを仕事に活かすことは、職業人としての充実感や満足感を高めるために非常に重要です。
(2)得意なことを仕事にするデメリット
得意なことを仕事にすることは、一見理想的に見えるかもしれませんが、デメリットも存在します。
まず一つ目は、プレッシャーです。得意なことを仕事にすると、結果を出さなければならないというプレッシャーが増す可能性があります。そのプレッシャーがストレスに変わり、楽しかったことが苦痛に感じることもあります。
デメリット | 具体的な内容 |
---|---|
プレッシャー | 結果を出さなければならないプレッシャーにより楽しかったことが苦痛に |
二つ目は、一時の興奮や情熱が冷めた時の問題です。得意なことを追求する過程で楽しむことができても、それが長期間続けられるかどうかは別問題です。
デメリット | 具体的な内容 |
---|---|
情熱の消失 | 一時の興奮や情熱が冷めた時に持続できるかどうかの問題 |
これらを踏まえ、得意なことを仕事にする際は、メリットとデメリットをしっかりと比較検討しましょう。
(3)自分に合った仕事を見つけ出す方法
自分の得意なことを活かせる仕事を見つけ出すためには、以下のステップを試してみてください。
- 自己分析:得意なこと、好きなこと、価値観や意識、ライフスタイルをリストアップします。
- 業界リサーチ:自己分析の結果をもとに、興味がある業界や職種を調査します。それぞれの業界や職種が、自分の得意なことや好きなことを活かせるかどうかを考えます。
- 転職サイトや求人情報サイトを活用:自分に合った条件(給与、勤務地、時間等)の求人を見つけます。また、自分が持っているスキルや経験が求められているか確認します。
- ネットワーキング:自分が興味を持つ業界の人々と交流し、業界の現状や将来性を理解します。
- 職場体験:可能であれば、インターンシップなどを通じて職場体験を行い、実際に自分がその仕事に向いているかを試します。
これらのステップを踏むことで、自分の得意なことを活かせる仕事を見つけ出すことが可能になります。
6. まとめ
この記事では、「得意なこと」の見つけ方や活かし方について解説しました。
まず、「得意なこと」とは何か、そしてそれが「好きなこと」とどう違うのかを理解することが大切です。そして、「得意なことがない」と感じる人が自己を適切に評価できるよう、心理的視点からアプローチする方法を提供しました。
具体的に「得意なこと」を見つけるための5つの方法を提案しました。それは、楽しいと感じることを探求する、継続していることを分析する、自分ができて他人ができないことを考える、他人からのフィードバックを得る、そして「苦手なこと」から逆算する、です。
また、見つけた「得意なこと」を活かすためのステップも紹介しました。それは、得意なことを仕事に活かすメリットとデメリットを理解し、自分に合った仕事を見つけ出す方法です。
これらを活用して、あなた自身の才能や能力を最大限に引き出し、より充実した生活やキャリアを築いていきましょう。