「ベルビンチームロールテストとは」チーム形成で活かすための完全ガイド

February 14, 2024February 18, 2024

1. はじめに

ベルビンチームロールテストの概要

ベルビンチームロールテストとは、イギリスの心理学者メリディス・ベルビンが提唱したチーム内役割分析ツールです。9つの特定のロールを設定し、各メンバーがどのロールに最も該当するかを評価します。これにより、チーム内のバランスや、チームメンバーが自身の役割を理解し、相互補完し合うことを促進します。

以下の表は、9つのロールとその特徴を示しています。

ロール	特徴
形づくる人	目標に向かってチームを動かす力強さを持つ
実行者	計画を実行に移し、結果を出す能力がある
補完的完成者	高い品質基準を設定し、エラーを見つけ出す能力がある
プラント	創造的で革新的なアイデアを提供する
モニター	冷静な視点で評価し、意思決定を補助する
スペシャリスト	特定の分野に深い知識とスキルを持つ
コーディネーター	チーム内の人間関係を円滑に保つ調整能力がある
チームワーカー	チーム内の調和と協力を促進する
情報収集者	外部情報を集め、新たな視点を提供する

ベルビンチームロールテストは、これらの特性を理解し、最適な組織形成を目指すための有用なツールとなります。

チーム形成に活かす目的

ベルビンチームロールテストは、個々のメンバーがチームにどのような役割を果たすかを明確にし、チーム全体の生産性を最大化するために用いられます。その主な目的は以下の3点です。

１．「適材適所」の配置：各メンバーの得意分野や役割を把握することで、最も活きるポジションに配置します。これにより、チーム全体のパフォーマンスを高めることが期待できます。

２．チームバランスの調整：チーム内部で偏りがあると、問題解決や意思決定に支障をきたすことがあります。各ロールのバランスを考慮することで、これを回避します。

３．コミュニケーションの効率化：各メンバーが自身と他人のロールを理解することで、無駄な誤解を避け、円滑なコミュニケーションが可能になります。

以上の目的を達成することで、ベルビンチームロールテストは、チーム形成に大いに活かされます。

2. ベルビンチームロールテストの9つのロール

形づくる人

ベルビンチームロールテストの9つのロールの一つ、「形づくる人」は、特にチーム運営の方向性を定める役割を担当します。「形づくる人」は、その名の通りチームの形を作り出す存在であり、目標達成のためにチームを推進し、必要な決断を下す能力を持っています。

「形づくる人」の主な特性：

チャレンジへの積極的な取り組み
強い意志と決断力
目標達成への情熱

以下の表に、「形づくる人」の特性、役割、貢献をまとめました。

特性	役割	貢献
強い意志と決断力	チームの方向性を決める	チームの目標達成
チャレンジに積極的	必要な行動を起こす	チームの推進力
目標達成への情熱	モチベーション維持	チームの活力

このように、「形づくる人」はチームにおいて中心的な役割を担い、他のメンバーを引っ張っていく存在と言えます。

実行者

実行者とは、ベルビンチームロールテストにおいては、一言で言えば「チームの動力源」となる役割です。

実行者は、プロジェクトを具体的に推進し、計画を実行する役割を果たします。彼らは決定された計画や課題に対して、効率的に行動し、結果を出すことに注力します。短期的な目標の達成に重きを置き、日々のタスクの遂行に努めます。

以下の表は、実行者の特性をまとめたものです。

特性	内容
効率性	決められたタスクを素早く、的確にこなす
実行力	計画を具体的なアクションとして実行する
結果志向	目標達成に向けた結果の出せる行動を優先する

これらの特性を持つ実行者は、チームにおける積極的なアクションを推進し、確実な結果を生み出す存在となります。

補完的完成者

補完的完成者とは、ベルビンチームロールのひとつで、細部への注視と仕事の完遂に優れています。彼らはエラーやミスを見つけ出し、それらを是正する能力に長けています。

表1. 補完的完成者の特性

特性	詳細
細部へのこだわり	小さなミスでも見逃さない
忍耐強さ	一貫して高い品質を保つために必要な時間と労力を惜しまない
自己犠牲	チームやタスクのために自分の時間を割く

補完的完成者は、細部を見落としやすい他のメンバーのバランスをとります。また、品質の高い結果を求める際には、彼らの能力が非常に重要となります。注意が必要な点は、完璧主義からくるストレスや過度のプレッシャーを自分自身にかけがちな傾向にあります。それを理解しサポートすることで、補完的完成者はチームにおける重要な役割を果たします。

プラント

「プラント」は、ベルビンチームロールテストの一つで、非常に創造性が高く、新しいアイデアや解決策を生み出す能力があります。彼らは独創的で、従来の枠にとらわれない新しい考え方を提供します。

しかし、その高い創造性ゆえに現実から離れた案を提案することもあります。そのため、プラントの意見は他のチームメンバーによってリアルな視点で評価される必要があります。

ロール	特性	役割
プラント	高い創造性、独創的	新たなアイデアや解決策を提案

プラントは通常、初期のブレインストーミング段階で最も活躍しますが、プロジェクト全体を通じて新たな視点を提供し続けます。そのため、プラントの役割は、チームが固定観念に捉われず、新たな視点を持ち続ける上で大変重要です。

モニター

ベルビンチームロールテストにおける「モニター」は重要な要素です。モニターは、チームの意思決定に対するクリティカルな視点を提供する役割を果たします。彼らは事実やデータに基づいて判断し、次に何をすべきかを冷静に分析します。

表1.モニターの特性

特性	説明
冷静	状況を冷静に判断し、客観的な視点を持つ
分析力	情報を精緻に分析し、重要な意思決定に貢献
評価力	チームが提案するアイデアやプランを評価

モニターの存在は、チームが感情や先入観に左右されることなく、正確で効果的な判断を下すために不可欠です。また、彼らの視点は、チームが最善の方向性を見つけるための新たな視野を開くことができます。

スペシャリスト

スペシャリストとは、ベルビンチームロールテストの中で特定の領域に深い専門知識を持つメンバーのことを指します。彼らはその専門性を活かし、チームに貢献することが期待されています。

スペシャリストの特性は以下の通りです。

特性	内容
専門知識	特定分野に深い理解とスキルを持つ
問題解決	その知識を活用し問題解決に寄与する
自己啓発	常に最新の情報を追求し、スキルをアップグレードする

スペシャリストは、特定の課題や問題に対応できる唯一のパーソンであることが多く、その存在はチームにとって極めて価値あるものとなります。ただし、他の分野への理解が薄いため、彼らが多数を占めるチームは視野が狭くなる恐れがあります。この点は、チーム形成時に考慮するべき重要なポイントです。

コーディネーター

「コーディネーター」は、ベルビンチームロールテストの一つで、チーム内部の調整を主導する役割を果たします。その特徴は、他人の意見を尊重し、チーム全体の方向性を見極める能力にあります。

以下にコーディネーターの特性と貢献するポイントを表にまとめました。

特性	貢献
他人の意見を尊重	チーム内の意見対立を軽減
方向性を見極める	チーム全体の目標達成に向けた調整

しかし、全てのメンバーがコーディネーターとなれるわけではありません。その能力は、経験や人間性からくるもので、これらによってチーム内での役割が変わります。

コーディネーターの存在は、チームが一丸となって動くためには欠かせない役割であり、適切な人材を配置することでチーム全体の生産性を向上させることが期待できます。

チームワーカー

「チームワーカー」はベルビンチームロールテストにおける重要なロールの一つです。

この役割を持つメンバーは、チーム内部の関係性を強化し、円滑なコミュニケーションを推進します。また、衝突や対立を最小限に抑え、積極的に協調性を高める傾向があります。

下記表に具体的な特性と貢献を示します。

チームワーカーの特性	チームへの貢献
他人との関係性を重視する	チームの結束力を高める
対立を避け、調和を求める	チーム内の緊張を緩和する
協調性が高い	チーム全体の協力関係を強化する

ただし、一方で決断力に欠けるという弱点もあります。そのため、チーム全体としては他のロールと適切にバランスを取ることで、最大限に彼らの能力を活かすことが可能となります。

情報収集者

情報収集者とは、ベルビンチームロールテストで定義された9つのロールの一つです。この役割を担う人は、新たな情報やアイデアをチームにもたらす能力に長けています。

特性	詳細
好奇心旺盛	新たな情報を追求し続けるため、新しい視点やアイデアを提供します。
調査能力	問題解決のために外部情報を検索し、集める能力があります。

情報収集者は、情報の収集と分析に優れ、多様な視点をチームに提供することが求められます。そのため、新しい情報や視点をもたらし、チーム内の意思決定を助ける役割を果たします。しかし、あまりにも多くの情報を提供しすぎると、他のメンバーが混乱する可能性もあるため、情報の量と質を適切にコントロールすることが重要です。

3. 各ロールの特性と貢献

ロールごとの特性

ベルビンチームロールテストでは、9つの異なるロールがあります。それぞれのロールの特性は以下のとおりです。

「形づくる人」: 目標達成に向けてチームを推進します。エネルギッシュで自己主張が強く、自発的に行動します。
「実行者」: 安定性と効率性をもたらします。彼らは実践的で信頼性があります。
「補完的完成者」: 仕事を最後までやり遂げます。彼らは細部に気を配り、高い品質を求めます。
「プラント」: 創造的なアイデアを生み出します。彼らは独自の視点を持ち、新たな解決策を提供します。
「モニター」: 問題解決のための戦略的な思考が得意です。彼らは分析的で、適切な決定をする能力があります。
「スペシャリスト」: 専門知識を活用してチームに貢献します。彼らは自分の専門分野に深い理解と情熱を持っています。
「コーディネーター」: チーム内の人々をつなげ、調和をもたらします。彼らは他人を理解し、協力を促す能力があります。
「チームワーカー」: チーム内のコミュニケーションを助け、雰囲気を和やかにします。彼らは配慮深く、協調性があります。
「情報収集者」: 必要な情報を集め、理解します。彼らは好奇心旺盛で、広範な知識を持っています。

チーム内での役割

ベルビンチームロールテストにおける9つのロールは、各々がチーム内で異なる役割を持ちます。以下、各役割の簡単な説明と、そのチーム内での寄与を表にまとめました。

役割名	役割の特性	チームでの貢献
形づくる人	アイデアを形にする力を持つ	プロジェクトを牽引し、目標達成に向けて活動を進める
実行者	計画を実行に移す力がある	具体的な行動を起こし、結果を出す
補完的完成者	細部へのこだわりや完全さを追求する	チームの品質管理やリスク管理を担当する
プラント	創造的な思考を持つ	新しいアイデアや解決策を提供する
モニター	客観的な視点を持つ	チームの進捗管理や問題提起を行う
スペシャリスト	特定領域の専門知識を持つ	専門的な問題解決に貢献する
コーディネーター	チーム全体を統合する能力がある	チーム内のコミュニケーションや調整を担当する
チームワーカー	協調性が高く、人間関係をスムーズにする	チームの雰囲気作りや人間関係の管理を行う
情報収集者	広範な情報を収集する技能がある	マーケットの動向や必要な情報を提供する

これらの役割は、チーム全体のバランスを保つために必要です。各役割が互いに補い合うことで、チームはより効果的な成果を出すことが可能となります。

ロール間の相互作用

ベルビンチームロールテストでは、各ロールが他のロールとどのように協働するかを理解することが重要です。例えば、「形づくる人」は新たなアイディアを提唱する一方で、「実行者」はそれを計画し、具体的な行動に移す役割を担います。また、「補完的完成者」はディテールにこだわり、品質向上に寄与します。

表1. ロール間の相互作用

ロール	相互作用の例
形づくる人	実行者と共に新たなアイディアを形に
実行者	形づくる人のアイディアを具体化
補完的完成者	プラントのアイディアを精緻化

これらの相互作用を通じて、チーム全体のパフォーマンスを高めることが可能です。各メンバーが自身のロールを理解し、他のロールとの協働方法を把握することで、チームとして最高の結果を生み出すことができます。

4. バランスの取れたチームの作り方

チームの強みを活かす方法

ベルビンチームロールテストでは、メンバーの個々の強み、つまりチームロールが明確になります。その強みを最大限に活かす方法として以下の手法があります。

ロールに基づくタスク割り当て: 個々のロールに応じたタスクを割り当てます。例えば、「実行者」に対しては具体的な行動をとる役割、一方で「プラント」にはアイデア出しを任せる等です。
ロール間協力の促進: ロール間での協働を促進することで、チーム全体の力を増幅します。例えば、「情報収集者」が集めた情報を「スペシャリスト」が分析する役割にする等です。
チーム内コミュニケーションの強化: メンバーが自身のロールを理解し、他のメンバーのロールも理解することで、効果的なコミュニケーションが可能になります。

このように、メンバーそれぞれのロールを理解し、活かすことでチーム全体の生産性を高めることが可能です。

チーム内のギャップを見極める技法

チーム内のバランスを評価するには、ベルビンチームロールテストが非常に有用です。このテストには9つのロールがあり、それぞれがチーム内で担う役割が定義されています。チーム全体として必要なロールが一部欠けている場合、そのギャップが問題を引き起こす可能性があります。

例えば、以下のような表を作成し、各メンバーのロールを明確にします。

メンバー	ロール
Aさん	形づくる人
Bさん	プラント
Cさん	スペシャリスト

次に、この表をもとに全体として必要なロールが全て含まれているかチェックします。例えば、「実行者」や「情報収集者」がいない場合、計画を実行する力や情報を収集する能力が不足する可能性があります。

チーム内のギャップを見つけたら、新たなメンバーの追加や、既存メンバーのロール変更などによってバランスを取り戻すことが重要です。定期的にこのチェックを行うことで、チームのパフォーマンスを維持し、向上させることが可能になります。

定期的なチームのロール見直しの重要性

チームの成功は、各メンバーがそれぞれの特性を活かし、バランス良く働くことで成り立ちます。しかし、プロジェクトの進行やメンバーの成長に伴い、チームのロールは必ずしも固定的ではありません。

そこで重要となるのが、「定期的なチームのロール見直し」です。チームの状況を把握し、必要に応じてロールの見直しを行うことで、より効果的なチーム運営が可能となります。

例えば、以下のようなポイントを見直しの対象にすると良いです。

【1】ロール見直しのポイント

各ロールが適切に機能しているか
チームのバランスが保たれているか
新たな課題に対応するためのロール調整は必要か

これらを定期的に見直すことで、チームのダイナミズムを維持し、プロジェクトの成功につなげることが可能です。

5. ベルビンチームロールテストを活用する具体的な手法

チームビルディングにおける活用法

ベルビンチームロールテストは、チームビルディングにおける非常に有益な手法として活用することができます。まずは、全員がテストを受け、自身の得意なロールを把握することが重要です。

次に、各メンバーのロールを明らかにし、それを基にチームの構成を見直すことで、各員の得意分野を活かし、仲間意識を高めることができます。

そして、さらなる高みを目指すためには、定期的にテストを再実施し、新たなロールへの挑戦やスキルアップを促すようにしましょう。

また、チームビルディングの際には以下のポイントがポイントとなります。

各ロールが均等に分布しているか
チーム内で必要とされるロールが欠如していないか

これらを考慮し、最適なチーム形成を行うことで、組織全体の生産性向上に貢献することが可能です。

チーム管理ツールとの連携方法

ベルビンチームロールテストを活用する際、チーム管理ツールと連携する方法を紹介します。

まず、各メンバーがどのロールに該当するかを把握するために、ベルビンチームロールテストを実施します。テストの結果は、スプレッドシートや専用の管理ツールで整理し、視覚化します。例えば、以下のような形で表示できます。

メンバー	ロール
Aさん	実行者
Bさん	補完的完成者
Cさん	形づくる人

次に、各メンバーが持ち味を活かせるような役割分担を行います。これにより、各人が自分の得意な役割を理解し、チーム全体の生産性向上に繋がります。

また、定期的にチームロールを見直し、必要に応じてメンバー間でロールを交換することも有効です。これらのプロセスを、チーム管理ツールで進行・管理することで、チーム全体の役割分担と調整がスムーズに行えます。

6. 組織変容を達成するための応用

チームロールモデルを用いた組織変容の例

ベルビンチームロールテストを組織変容に活用する一例として、新たなプロジェクトチームの結成時に参考にします。各メンバーのロールを明確にし、バランスの良いチーム編成を心掛けることで、組織内での効率的な業務遂行を促進できます。

例えば、新製品の開発チームを結成する際、以下のような配置を考慮します。

ロール	役割
プラント	アイデア提供
形づくる人	プロジェクト推進
実行者	具体的な行動計画作成
情報収集者	必要な情報収集
スペシャリスト	専門的な知識提供

このような編成をすることで、各メンバーが自身の役割に注力し、全体として効率的なチーム運営が期待できます。また、定期的なロールの見直しを行い、チームの状況に応じて最適な配置を模索することも重要です。