1.はじめに
MBTIとは何か簡単に説明
MBTIとは、マイヤーズ・ブリッグス・タイプ・インジケータ(Myers-Briggs Type Indicator)の略で、心理学者イザベル・マイヤーズと母カトリン・ブリッグスが開発した性格診断ツールの一つです。人間の性格を4つの二項対立する指標で表し、それぞれの項目から一つを選ぶことで、合計16種類の性格タイプを診断します。
具体的には以下の4つの項目から成り立ちます。
- 対外性(E:Extraversion) - 内向性(I:Introversion)
- 感覚(S:Sensing) - 直観(N:iNtuition)
- 思考(T:Thinking) - 感情(F:Feeling)
- 判断(J:Judging) - 知覚(P:Perceiving)
自己理解やコミュニケーションの改善に役立てられており、キャリア選択やチームビルディングなど様々な場面で活用されています。
MBTIの結果が変わるとはどういうことか
MBTIは、自己理解の一つの方法であり、人間の性格を16のタイプに分ける心理学的手法です。それぞれのタイプは、思考や行動のパターンを表しています。しかし、人間の性格は固定的なものではなく、さまざまな状況や経験により変化が生じることがあります。
したがって、「MBTIの結果が変わる」とは、再度テストを受けたときに、以前と異なる結果が出ることを指します。これは、人間が経験を通じて変化し、成長することを示すものであり、あくまでその瞬間の自己を表すスナップショットという視点で捉えられるべきです。
この結果の変化には、以下のような主な理由が考えられます。
- 精神的なコンディションの変動:ストレス状態や心の余裕がないときには、通常とは異なる振る舞いを示す可能性があります。
- 心理機能の発達:年齢や経験により、心理機能が発達し、自己理解が深まると、以前とは異なるタイプに該当することがあります。
- 設問内容の解釈の違い:テスト時の理解や解釈により、異なる回答をすることがあります。
2.MBTI結果が変わる主な理由
MBTIの結果が変わる理由は主に三つあります。
- (1)環境の変化による影響: 私たちは周囲の環境に影響を受けます。環境が変わると私たちの行動や感じ方も変わるため、結果が変わることがあります。
- (2)年齢と成長に伴う自己理解の深まり: 私たちは年齢とともに成長し、自分を理解する力も深まります。この結果、以前と異なる性格タイプが浮き彫りになることがあります。
- (3)診断時の感情や精神状態の影響: 診断を受ける時の気持ちや精神状態は、結果に大きく影響します。落ち着いていないときやストレスがかかっているときに受けると、結果が変わる可能性があります。
以上のように、様々な要素がMBTIの診断結果を左右します。
(1)環境の変化による影響
「環境の変化による影響」は、MBTIの結果が変わる一因として考えられます。人は環境によって行動や思考が変動する生き物であり、その影響は性格診断の結果にも反映されます。
例えば、ある人が学生時代と社会人になってからのMBTI診断結果を比べてみると、結果が異なる場合があります。これは、学生時代という特定の環境下では一定の行動パターンや思考傾向が強調され、それがMBTIの結果に反映されたと考えられます。それに対して社会人として働く環境では、新たな要素が加わり、それが結果に影響を与える可能性があります。
つまり、MBTIの結果が変わる理由の一つとして、「自分自身が変わった」と感じる大きな環境変化が挙げられます。これは、自己理解の一環として捉え、自分がどのように変化してきたのかを省みるきっかけとして活用できます。
(2)年齢と成長に伴う自己理解の深まり
年齢を重ねるにつれ、私たちは自己理解を深め、自己の価値観や優先順位が変化することがあります。これは、MBTIの結果にも影響を及ぼす要素の一つです。例えば、若い頃は外向的で社交的だった人が、年齢を重ねることで内向的で独立した性格を持つようになることがあります。
図1. 年齢と性格変化の例
年齢 | 性格 |
---|---|
若い頃 | 外向的、社交的 |
年齢を重ね | 内向的、独立的 |
このように、自己理解の深まりとともに自己の性格が変化し、それに伴いMBTIの結果も変わることがあります。それゆえ、MBTIは一度の診断結果に固執せず、自己理解の一環として使うことが推奨されます。
(3)診断時の感情や精神状態の影響
MBTIの結果が変わる要因の一つに、受けるタイミングやその時の感情・精神状態が影響を及ぼすという事実があります。例えば、ストレスが溜まっている時や感情が高ぶっている時に受けた結果と、リラックスした状態で受けた結果は異なることが多いです。以下に、感情・精神状態によるMBTI結果の変動を示す表を作成しました。
状態 | タイプの傾向 |
---|---|
ストレス状態 | 感情的な判断を優先 |
リラックス状態 | 冷静な判断を優先 |
これらのことから、MBTIは一部の自己理解ツールであるということを認識し、結果に一喜一憂せず、その時々の自分を理解する一助とすることが重要です。
3.MBTI診断結果が変わる可能性を理解して正しく活用する方法
診断結果の50%前後のタイプを確認することの重要性
MBTI診断結果が変わるのは、人間の心理状態が日々変化するからです。そのため、自己理解を深めるには、診断結果の50%前後のタイプを確認することが重要です。
テスト結果における各指標(E-I、S-N、T-F、J-P)のスコアが中間(50%)近くである場合、その人はその両側の特性をバランス良く持っている可能性があります。例えば、E(外向性)とI(内向性)のスコアがほぼ半々であれば、その人は状況によって外向性を発揮したり、内向性を発揮したりするかもしれません。
次に表をご覧ください。
外向性 | 内向性 | |
---|---|---|
スコア | 45% | 55% |
この例では、外向性と内向性のスコアが近いため、その人は状況により外向的でも内向的でもあり得ることを示しています。
このように、自身のMBTI診断結果の50%前後のタイプを確認することで、あなた自身の多面性を理解し、自己理解をより深めることができます。
複数のタイプを理解し、自分自身を深く知る
MBTIテストはあくまで自己理解の道具の一つであり、決定的な自己評価の基準となるものではありません。MBTI結果はあくまで一時点でのあなたの特性を示しているだけ。ですから、異なるタイプの分析結果を理解することも大切です。
例えば、あなたが「INTJ」の結果を得た場合、それだけでなく「INTP」や「INFJ」などの近いタイプも確認してみることをおすすめします。これにより、自分が普段意識していない可能性のある特性や行動パターンに気付くことができるでしょう。
タイプ | 特性 |
---|---|
INTJ | 独立心が強く、戦略的思考に優れている |
INTP | 論理的な思考を好み、理論構築に興味がある |
INFJ | 深い洞察力を持ち、他人の感情に敏感 |
このように、複数のタイプを理解し、自身を多角的に観察することで、より深い自己理解が可能となります。
4.MBTI以外で自己分析できるツール
キャリアコーチングサービス
キャリアコーチングサービスは、専門家によるアドバイスや支援を通じて、自己理解を深めるのに非常に有効なツールです。このサービスは、キャリアの目標設定、自己分析の方法、職業選択のサポートなど、個々のニーズに合わせた多岐にわたる支援を提供しています。
一般的なサービスの流れは以下の通りです。
- 自己分析:自己理解を深めるためのワークショップやセミナーへの参加
- 目標設定:将来のキャリアビジョンを明確にし、達成するための具体的な計画を立てる
- アクションプラン策定:設定した目標に向けた行動計画を策定し、実行に移す
キャリアコーチングサービスはMBTIとは異なる観点から自己理解を促進し、自身の能力や可能性を最大限に引き出すための手段を提供します。
コンピテンシー診断
コンピテンシー診断は、ビジネススキルや人間性、価値観などを評価する手段の1つです。具体的には、主にコミュニケーション能力や問題解決力、リーダーシップなど、仕事上で必要とされる能力や特性を把握することが可能です。
コンピテンシー診断は自己理解だけでなく、自身の強みや発展可能性を見つけ出すためのツールとして役立ちます。この診断結果を活用することで、自分がどのような人間関係を築くことが得意なのか、またはどのような状況下で最高のパフォーマンスを発揮できるのかを理解することが可能になります。
表:コンピテンシー診断の一例
コミュニケーション能力 | 問題解決能力 | リーダーシップ |
---|---|---|
〇〇点 | △△点 | ××点 |
こうした自己理解はMBTI同様、自己成長やキャリア形成に大いに役立つことでしょう。
キャリア診断
キャリア診断とは、個々の職業観や適性を探り、自分が適している仕事や進むべき道を探究するツールです。一人ひとりの価値観や能力、経験を基に、最適なキャリアパスを提示します。
具体的な診断方法としては、以下のような項目があります。
- 適性テスト:数理能力や言語能力、理論的思考力などを測定し、特定の職業への適性を判定します。
- 価値観調査:個々の価値観や目指すライフスタイルを調査し、それに合うキャリアを提案します。
- 経験とスキルの自己評価:これまでのキャリア経験や習得してきたスキルを自己評価します。
これらの結果を基に、自己理解を深め、MBTIと並行してキャリア形成の一助となることでしょう。
動物占い(個性心理学)
動物占い(個性心理学)とは、生まれた年と月によって割り当てられる12種類の動物からなる占いです。これは、あなただけの性格や適性を表す一種の自己分析ツールとなります。
表1. 動物占いの一覧
動物名 | 性格特性 |
---|---|
ネズミ | 創造的、好奇心旺盛 |
ブタ | 社交的、親切 |
ネコ | 独立心が強い |
… | … |
また、動物占いは他人との関係性を理解するのにも有用です。例えば、猫型の人間は自由を好む一方で、パートナーシップを重視する牛型の人間とは相性が良くない可能性があります。
このようにMBTI結果が変わる可能性を考えると、動物占いのような別の自己分析ツールを活用することは、自己理解を深める上で非常に価値があります。
5.独自の見解:MBTI結果が変わることの意義とは
自己理解を深めるためのヒントとしてのMBTI
MBTIは私たちが自己理解を深めるための有効なツールであり、結果が変わること自体もその一部です。MBTIの結果は私たちの「現在」の行動傾向や価値観を捉え、それを16のタイプに分類します。しかし、私たちの心理状態や経験は日々変動し、それぞれのタイプに該当する部分も変化するのが自然なことです。
MBTI結果が変わると感じたら、それは新たな自己理解の機会かもしれません。結果が変わった要素を見つけ出し、自分自身の心理状態や状況を振り返ることで、より深い自己理解につながります。
つまり、MBTIは「結果が出たから終わり」ではなく、「結果が変わったから新たな始まり」と捉えることが大切です。そうすることで、自己理解をより深めていくことが可能となります。
MBTI結果の変化から見る心理的成長
MBTIの診断結果は、私たち自身の成長や変化を視覚化する鏡のような役割を果たします。例えば、以前はI(内向型)だった結果が、何度かテストを重ねるうちにE(外向型)へと変わった場合、それは自分自身が社交性を増してコミュニケーションスタイルが変化した可能性を示しています。
以下の表は、MBTIの各指標が心理的成長にどのように関連しているかを示しています。
MBTI指標 | 心理的成長の示唆 |
---|---|
E⇔I | 自己表現や対人関係の変化 |
S⇔N | 視野や思考の広がり |
T⇔F | 感情表現や価値観の変化 |
J⇔P | 決定力や柔軟性の変化 |
変化したMBTIの結果は、私たちがどのように成長し、どの領域で進化したかを理解する手助けとなるでしょう。それらを踏まえ、より深い自己理解と自己の成長を目指すことが大切です。
6.まとめ
MBTI結果が変わる3つの主な理由の再確認
まず始めに、MBTI結果が変わる理由は大きく分けて3つあります。
1つ目は、精神的なコンディションによる変動です。ストレスや気分、体調など、その時々の精神状態が診断結果に影響を与えます。同じ質問に対しても、ある日は楽天的に答えるかもしれないし、ある日は悲観的に答えるかもしれません。
次に2つ目、心理機能の発達による変動です。年齢と共に自己理解が深まり、新しい価値観や考え方を追求することで、MBTIの結果が変わることもあります。
最後に3つ目、設問内容の解釈の違いです。同じ質問でも、その日の状況や気分、体調によって解釈が変わることがあります。この3つの理由を理解することで、MBTI結果の変動を深く理解することができます。
MBTI結果が変わることを活用して深い自己理解を目指す
MBTI結果の変化は、自己理解を深めるための重要な手がかりです。一度のテスト結果が全てを決定するわけではなく、時間と共に心理状態や経験が変わることで結果も変動します。
例えば、一度はエクストラバート(外向型)と判断されたものが、再度テストを行ったところイントロバート(内向型)に変わった場合、それはある時期における自分の内面的変化を示しています。このような変化を理解することで、より深い自己理解につながります。
また、MBTI結果は自己理解だけでなく、他者理解のヒントにもなります。異なる結果が出た人々の視点を理解することで、コミュニケーション力や対人関係も向上させることが可能です。
つまり、MBTI結果の変化を活用することで、自己成長と人間関係の向上に役立てることができます。